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課題別の具体的な取り組み(2018年度運動方針)

課題別の情勢

 

 農民、農村にとって、あらゆる問題がより先鋭化してくることが予想される。現場で問われる課題・要望に対する具体的な取組みや、取組みを通じての組織化を行っていくことが重要となる。当面の地域の課題を整理するとともに、取組みの方向と組織方針を具体化したい。    

1.生産調整、米・飼料米・土地利用政策

  戸別所得補償制度の確立を基本に、現場では行政に対し責任をもって生産調整をさせるように働きかける。一方、自分たちの米の直接販売にも取り組む。その中で、安定的に取引ができる消費者、取引先を開拓する。
 そのためには、個々の農業者の縁故米だけでなく、集落営農や販売組合なども組織し、農協との連携も含めながら有利販売・安定販売先を開拓する。
 飼料米についても財務省は財源圧縮を狙ってきているが、交付金水準を守る主張と、価格補償制度の確立を行政や農業団体へ働きかける。
 生産においては、水田の利活用だけでなく、自給飼料の生産と連動する複合経営体として和牛繁殖への取り組みや、地域の畜産農家との連携を強める。
 農地の流動化に際しては、企業や担い手のみ対象の集積では地域は存続できない。求められるのは、誰もが参加し働くことができ、かつ意思決定に参加できる農事組合法人形態の集落営農法人への取り組みを強め、地域全体で農地と農業を守ることだ。家族農業の延長線にあるものだ。
 農地中間管理機構による農地集積に対しては、無定見に農地を手放すのではなく、地域の農業の継続のための集落営農法人への貸し付けや、構成員となる法人への貸し付けなど、方向性をしっかりとした対応を行う。

2.担い手・新規就農・集落営農法人

 担い手問題は、現状を見れば最重要課題であり、将来を担う階層の育成強化に取り組まなければならない。そのため、担い手に係る定住政策や所得政策への取り組み、集落営農法人の組織化への取り組みを進める。 
 既存の法人を含めた法人の運営や経営、法人に対する行政支援の課題、さらに法人が直面してくる営農課題、価格対策、負債対策、組織対策など、地域のニーズや課題に応じ、農民組合としても働きかけを強めて組織化を図ることが大切だ。
 新規就農者との交流会、法人との交流会や研修会の開催等を企画したい。自分の地域で実績をつくり、点を面へと広げていこう。

3.価格決定、地域特産品、産直運動

 再生産を可能にする価格を、自ら決定する直売運動が必要だ。また、加工によって付加価値をつけ、収益の向上につなげたい。地域の就労機会にもつながるものだ。
 集落組織や営農組織を通じ、技の伝統や社会のつながりを守る取組み、伝統食の伝承や祭りも日常の触れ合いあってのものだ。
 地域の特産品の掘り起しと、それを核とした加工販売などの地域づくり、消費者との体験交流や産直活動の強化によって組織化を図る。

4.教育研修、体験交流、国際交流

 若い担い手の育成とともに、より若い世代の農業体験など、食農教育が大切である。世代を超えて共に土に親しみ、自然との共同の営みや共生、食の安全、命に対する感性と本能を育みたい。 
 消費者に対する農業体験、食育体験も大切である。収穫し、それを味わう感動は、農と食への理解を深めるとともに、連携できる関係を強めたい。
 自分の手を使って作りだす体験が少なくなっている中、そこにある材料を使って何でも自分たちで作ってきた百姓に習った総百姓社会(自立したくらし)こそが、大量消費後の社会を豊かにするのではないか。
 訪日外国人旅行者は観光ベースを主体とするのではなく、国際交流の一環とした受入や体験をベースに、国際平和や友好交流につながる運動として再構築する。

5.地域づくりへの参画と働きかけ

 地域に根ざした自立的な農業・農村をつくるためには、地域でがんばる団体・個人との連携が重要となる。食は地域の軸であり、農は地域の基盤だ。食と農を通じたあらゆる地域の団体と連携のあり方を探っていこう。
 農業だけでなく、農村社会の担い手課題、農業・農村課題と密接につながる地方自治や地域の社会システムの課題。とくに、地域おこし協力隊や新規就農してきた若者との連携が欲しい。彼らをもとにしたサポートは地域にとって重要である。
 各種の政策が一層都市に集中する中にあっては、新たなコミュニティの形成、自給圏の形成、新たな自律的なムラの形成こそが大切である。政治を当てにすることはできない。 閉鎖的でなく、都市消費者との連携や、他の地域との連携も取りながら、自立できる経済圏・生活圏をつくる。それは戦略的な対応といってもよい。
 現在の半分の人口であった時代でも、藩政を中心に各集落・各地域で自律的経済活動は保たれていたのだ。必要なのは、姿勢であり方向性である。
 右は元全日農会長故足鹿覺さんの愛吟の漢詩である。時の政府をものともしなかった、百姓の世界観である。

6.畜産・酪農への取り組み

 政府は、米作については兼業から専業へと言い、総合農協は専門農協へと主張する。相反する主張だが、政府、財界の真の狙いは畜産問題から分かる。
 複合経営が一部あるものの、酪農家はほとんどが専業である。規模もそれなりに拡大し、EU等と比較して規模も技術水準も決して劣ることはない。酪農家の結集する農協は、専門農協である。だからといって安泰ではない。それどころか、現在は、50頭クラスの家族経営から、企業等の参入もあり、1000頭クラスのメガファームなど企業経営へのシフトが企業参入により図られ、環境は厳しくなっている。
 さらに、企業参入と併せて、規制緩和と称し、指定生乳生産者団体制度の解体を狙い、自由競争の促進の下で、家族経営を中心とする専業酪農家は厳しい環境に置かれる。
 専門農協も経営的にも厳しく、企業の規制緩和の動きの中で、総合農協と同様に攻撃の的にされてくる。
 そのため、水田農業と畜産との耕畜連携による地域の農畜産業の持続的発展、さらには、消費者・国民へ良質なタンパクを安定的に供給するためにも、今後国際的な通商条約で最初に犠牲となる酪農・畜産を守る闘いを強化する必要がある。
 地域では、耕畜連携による戸数の維持を最大目標とするとともに、北海道・東北・九州など、畜産の主要地域での取組みを強化連携していくしかない。

7.農村エネルギー・環境政策問題

 太陽光による再生エネルギーの普及、畜産関係のメタン発酵によるバイオマス発電等、地域での再生エネルギーの取り組みも普及してきた。脱原発のためにもクリーンな再生エネルギーは重要だ。
 問題は取組みが地域に貢献できているかどうかである。エネルギーの自給も言われるが、企業や行政が土地を占有し、その売電益が企業等に吸い上げられるだけでは意味がない。
 農業者が農畜産物を生産するように、再生エネルギーについても農民や地域の人々・団体が生産し、電気や収益を地域に還元するようにしなくては本当の自立に繋がらない。そこにあるのがソーラーシェアリング(写真)である。自立したエネルギーへの道として取り組みを進めたい。
 あわせて、環境汚染、森林の荒廃による激甚災害の多発、水資源の枯渇、海洋汚染など、農業のもつ環境への役割は大きく、また林業や水産業との連携を含めた地域の取り組みも重要となる。

8.農協組織の問題と行政との関わり

 競争力強化支援法による農協改革については正念場を迎えることになろう。農協の解体か、もしくは資本側について資本提携や系列下への参画により、組織の存続を図るのか、厳しい対応を迫ってくるであろう。TPPを始めとする規制緩和や農業改革の中で、唯一の目障りの農協組織に対し、潰すか、傘下に下るか、いずれかを選択するよう攻撃の手を強めてくる。
 農協が農民や地域の立場に立つ組織としてしっかり構え、農家を大切にする組織として存続するかどうかの岐路ともなる。
 真に農民の利益を守る組織としてしっかりさせるためにも、連携を求めて常に緊張感をもって対応していく必要がある。地域問題に対応するためには、やはり農民の組織である農業協同組合と地方の自治体行政の存在は不可欠であるからだ。
 戦後の農業・農村において、農業協同組合の組織や小規模農家、家族経営が担ってきた役割は大きい。地域における相互扶助、地域の農業振興への取り組みなど重要な役割を果たしてきた。その思想は新自由主義的な競争原理を受け入れるものではない。だからこそ、地方に責任をもたざるを得ない行政とあわせ、地域経済・地域社会を支える中核的組織ともなり得る。

9.他団体・知識人等との連携

 情報氾濫の一方で必要な情報は隠されている。AIやロボット、ドローンなどの高度な情報や知識・機器、そしてシステム自体が、農業経営や農村社会にも浸透してきている。技術者がロボットを使い、工業生産的に作物を生産することすら可能となっている。
 だからこそ、情報収集と課題の整理、さらに、異業種連携ではないが、異分野の運動体、取組みとの連携も必要となる時代である。そのための情報収集・整理と提供機能の強化、学習と実践のための情報提供など本部機能、地域の機能も必要となる。
 生協等消費者グループとの連帯、他組織との食と農を通じた関係性の模索、具体的な活動での連携、学者グループ、民主団体、労働組合、農業関係団体との連携も強めていきたい。

 

具体的な取り組み

1.TPPなど自由化反対の闘い

・TPP11や日米FTA、日欧EPA交渉などに対して、様々な団体と連携・共闘して、反対運動を進める。地域においても、消費者や農業団体との連携を図りながら、自由化反対の取り組みを強める。
・アジアなど関係国の農民らと連携し、共同シンポジウムなどを開催する。
 

2.所得補償、価格政策の確立

・国会での法案審議、予算策定など情勢に応じ、政府及び政党への取り組みを強化する。
・民進党や立憲民主党、社民党など各政党に対し、現場の意見反映をはかる協議の場を求める。
・各自治体への政策要求の取り組みを行い、理解と実現について協力を要請するとともに、自治体独自の農業対策等の取り組みを求める。
・多方面の人たちとの意見交換や学習交流活動の強化、公開シンポジウムなど、地域の動きに繋がる運動を組織する。
 

3.自給率向上と多面的機能の保全

・現場生産者や畜産農家、行政など関係組織のネットワーク化を進めていく。
・有機農業に取り組むグループなどとの交流を強化し、シンポジウムや学習交流を進める。
・自治体の農業振興施策の確立を求め、地域の様々な団体と連携して地域営農などを進める。
 

4.担い手対策と6次産業化

・地域の先進事例を取り入れながら、水田を守る体制を確立する。生産管理体制として、集落営農を含んだ担い手づくりをめざす。
・限界集落や耕作放棄地化に対し、農協・行政への働きかけと、直接的な地域での応援部隊を組織化し、担い手育成等に取り組む。耕作放棄地に対する課税強化に反対する。
・農業大学校や研修教育機関の充実など新規就農条件の整備に取り組む。
・集落営農(農業生産)法人に農地の管理機能を付与するよう求める。また、株式会社による農地の所有に反対する。
・農漁民、住民が主体になって、地域で再生可能エネルギー法を活用したエネルギー生産の拡大。
 

5.消費者・市民との連携

・生協や消費者団体との連携を強化し、意見交換、シンポジウムなどを開催する。また、学校給食などを通じた食育の推進を自治体などに求めていく。
・有機農業や地産地消運動で、環境保護や農産物価格への理解を深める。行政に対し、直売所活動への支援、都市と農村の交流強化を働きかける。
・都市住民や子どもたちの農林業の体験、農家等への民泊の取り組み拡大の支援を求める。
 

6.大震災・放射能汚染からの復興・再生

・政府・自治体に対し、農業・農村の現場に立った具体的な対策の要求活動を行う。
・放射能被害(風評被害を含む)に対する迅速な補償を求める運動を支援する。
 

7.線下補償、税金などの課題

・高圧線下補償闘争を強化するため、全国的な情報交流を密にし、取り組みを広げるため、「全日農線下補償闘争連絡会」の活動を進める。発送電分離、電力会社の地域独占の見直しなどの動きを注視していく。
・農業課税など、税金に対する各地の取り組みを広げる。消費税の増税に反対し、食料品や農産物の非課税・軽減税率などとあわせ、税制の公平性を求めていく。農家の農業経営に対する助成金・補助金については、「一時所得」の適用を求める。また、放射能被害の補償に対する税制の配慮を求める。
・都市農業の積極的な振興を図る。農業者の育成や集落営農など、生産法人育成の上でも、税制面での対策を求める。
・土地改良区賦課金、負債対策などの取り組みの強化。農業負債への減免措置、制度資金の無利子化など、農業育成の上での政策的支援を求める。
・安倍内閣の戦争法(安保関連法)の発動、「基本的人権」と「立憲主義」を否定する「改憲」の策動、原発推進政策などに反対して、関係団体とともに取り組みを行う。
・農業政策の充実や農産物輸入自由化反対など、真に農業・農村を守る政策の実現に向け、各種選挙闘争を進める。
 

組織・財政の確立にむけて

1 組織の確立・拡大を図るために

府県連合会の組織を確立するため、消費者・労働者など間口を広げた組織として拡大していく。
・府県連合会に限らず、地域単位や農業生産体制、有機農業生産など、多様な業態別・課題別組織、グループなどに全日農への加盟をすすめる。
・未組織県や組織再建県については、重点的に組織対策を進める。
・国会議員団を拡大する。また、地方議員団の組織化を図る。
・ネットワーク会員を拡大していく。
・個人および消費者団体の賛助会員制や農業団体の賛助会員についても強化する。
・農民新聞やホームページを充実していく。
・執行部および事務局体制を強化する。政策立案体制、他団体との連携強化と情報提供、相談機能、会員等の組織化にむけ体制強化に取り組む。
・他の農民組織、消費者団体、労働組合などとの共闘・提携をさらに強めるとともに、ネットワークの拡大につなげていく。

2 安定した財政対策のために

・府県連合会の財政確立とともに、負担金の確実な納入をすすめる。
・各種団体の賛助金などを確立する。
・農民新聞の購読者数を拡大する。
・メール情報会員を拡大する。
・活動および財政に資するリーフレット等を作成する。

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