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農畜産業・農村地域政策に関する農水省要請書

意見書・要請書・見解など

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2014年11月12日

農林水産大臣
  西川 公也 様


                                          全日本農民組合連合会
                       会 長  斎藤 孝一

                      
                            
農畜産業・農村地域政策に関する要請


 
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、2010年の交渉開始から4年が経過しましたが、各国の意見の隔たりは依然大きいものがあります。特に徹底した自由化を求める米国の強硬姿勢は変わっておらず、知的財産、国有企業改革、環境などの分野で新興国との対立が目立っています。
 しかし、この間、政府は十分な情報を開示せず、国民的議論を行うことなく、性急にTPP交渉を進めています。特に、政府が「聖域」としてきた農林水産物の重要品目の関税は、日米協議において大幅な譲歩を強いられています。このまま交渉を続けるならば、さらなる譲歩を余儀なくされ、農産物や食料の輸入が増大し、農業・農村が崩壊してしまうことは火を見るよりも明らかです。
 昨年4月、衆参の農林水産委員会では、農林水産物の重要品目関税撤廃を認めないことや食の安全・安心、安定生産の確保、ISD条項反対などを決議し、それが確保できない場合は、交渉からの脱退も辞さないものと決議しました。現状において、こうした決議が守られないことは明らかであり、TPP交渉からの即時撤退を求めます。
 その一方、安倍内閣は規制改革会議、産業競争力会議等の議論を経て、「成長戦略」のためとして、雇用、医療と合わせて農業改革をその中心に据え、「攻めの農政」を展開しています。しかし、その内容は経営所得安定政策(戸別所得補償政策)の縮減・廃止、米の生産調整廃止、企業による土地の所有につながる農地集約、農協や農業委員会の解体、企業の輸出拡大等に向けた政策的な支援措置など、農業・農村を切捨て、多国籍企業・巨大企業のための改革になることが懸念されています。
 私たちは、安全・安心で良質な食料の安定供給をはじめ、国土や環境の保全、地域経済の活性化などに果たしてきた家族農業と農村の役割を再確認し、その維持・発展を求めて、下記事項を中心に、農業・農村の再生に向けた政策を進められるよう要請します。

                                   記

1.国民の命と暮らしを脅かすTPP交渉から撤退すること。また、これまでの交渉の内容等について情報開示を行うこと。

2.「食料・農業・農村基本計画」の見直しにあたり、施策の対象者をすべての農業者とすることを堅持し、多様な担い手の総動員による、農業・農村の持続的な発展を図ること。家族農業を基礎に、農村への定住と持続的な農業ができる農村政策を基本とした施策を樹立すること。

3.現行の再生産コストを踏まえ、安定的かつ持続的な生産体制を維持するための経営所得安定対策をすべての主要農畜産物において確立すること。とりわけ、今年産の生産者米価下落に対する緊急の経営安定対策として、過剰米の飼料米処理などの需給調整対策とともに、標準生産費を基礎にした直接補填支払いなどの対策を講ずること。
 また、日豪EPAの合意など、国内の畜産は存亡の危機に立たされていることから、マルキン制度の充実強化、生乳の価格補償制度等の経営が安定できる価格補填制度を確立すること。

4.水田利活用の作物についての面積および投入時間、収益を考慮した総合的な経営所得安定につながる交付金制度を確立すること。また、水田利活用によるコーン等自給飼料作物への支援措置の強化を含めた、総合的な自給飼料増産体制を強化すること。

5.兼業農家や集落機能も尊重し、多様な担い手による地域営農の持続可能な体制を確保すること。とくに、中山間地域の条件不利地域では、新規就農、集落営農、地域の農家を主体とした広域農業生産法人など、多様な担い手育成に取り組むこと。

6.中山間地域において、小規模基盤整備をふくめ、基盤整備事業が受益者の負担とならないようにすること。また、水路、農道のほかに、鳥獣害対策防止柵も基礎的な整備施設として位置づけ補助対象とすること。

7.畑地・里山・牧野・草地(耕作放棄地含む)の有効活用並びに、畜産の自給飼料体制や放牧体制の強化につながる農地中間管理事業のシステムの改善と整備事業を強化すること。

8.日本型直接支払制度について、「農業・農村・景観保全対策」として、水系を考慮した、水田・里山を一体的に管理する直接支払制度を創設すること。

9.担い手・若者の定住対策等を進めるため、次世代に焦点を当てた産業政策、住環境政策、教育福祉政策等の総合的な地域定住政策を行うこと。特に、山間地・条件不利地域での定住促進を図るため、空き家対策含めた定住制度、環境直接支払・所得補償制度を行うこと。

10.総務庁の地域おこし協力隊に準じた、農村に定住する若者の人件費・活動費への活用が出来るような事業を創設すること。

11.畜産政策について、自給飼料体制の基盤整備と生産体制の強化、新マルキン等畜産物価格補填体系の見直し、餌基金等の整備など水田利活用と連動した自給飼料体制、担い手対策など、酪農畜産が持続できる諸施策を強化すること。

12.中山間地域直接支払い制度の拡充を図るとともに、集落営農組織の育成強化の支援体制をとること。
 
13.鳥獣害対策について、十分な予算措置など、緊急かつ柔軟な対策を講じること。

以  上

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