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全日農2013年度運動方針

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2012年11月16日

全日本農民組合連合会(全日農)は2012年11月15日と16日に、第52回定期全国大会を開き、2013年度の運動方針を決めました。決定した運動方針は以下の通りです。

全日本農民組合連合会2013年度運動方針
 

一、はじめに
 敗戦の廃墟の中から、すさまじいスピードで経済成長路線を走りまくった67年間。この戦後日本の国づくりは何だったのか。国民にとって、真の幸せ、安全・安心につながっているのか。今後の国づくりは今まで通りでいいのか。根本的な総括が問われている。エネルギー政策や、安全・安心な国民の食料・農業・農村政策、国の安全保障政策等、国の基本方針がほころび始めたいま、新しい方向が模索されている。

1.大会の課題は何か
 今年の全日農大会の第1の課題は、環太平洋連携協定(TPP)参加阻止の運動だ。
 アメリカのリーマンショックに端を発した世界金融恐慌は、いま形を変えてEUの金融・財政危機として進行している。この経済恐慌の中で進むグローバリゼーション下でのTPPをはじめとする通商政策にどう対処するか。TPPの議論を通じて、改めて農業政策が問われている。食料・農業・農村は国民生活、文化を底支えしている基盤であり、準公共的財産の問題と国民全体が位置づけるような議論に、TPP問題を通して発展させなければならない。
 第2の課題は、日本農業の再生である。
 財界の思惑を反映した自民党の規模拡大一辺倒の選別農政は、政権交代で一変するのではと期待された。
 民主党政権が打ち出した「食料・農業・農村基本計画」(2010年3月)は農政転換を謳い、戸別所得補償政策や食料の安全・安心に向けた生産体制、6次産業化の推進は、長年にわたる全日農の主張に沿うものだ。戸別所得補償制度は生産現場で歓迎されて一定の政策効果が上がり、さらなる拡充が期待されている。これからが農政転換の正念場と思われた時に、民主党は方針を一転。TPP参加を持ち出し、自民党農政に逆流を始めた。
 今大会では、政権交代後の「新農政」を総括し、拡充すべき方向を明らかにしたい。さらに、混迷する時代に食料・農業・農村が国の基礎であるとする国民的合意を作り出すことが課題である。
 TPP参加阻止と日本農業再生の運動を作り出すことができる確実な方針を出さなければならない。これが、今大会の第3の課題である。伝統ある全日農運動の再生と活性化の具体策につなげなければならない。
 昭和一桁世代の退場までの時間は、あまり残されていない。再び混迷を始めた農政に、現場からの発言が重要になる今、全日農の力強い運動が求められている。財政問題も含めて、真剣な議論を交わしていこう。
 また、衆議院の解散・総選挙が予想され、再び政権交替の可能性も出ている。さらに、来年夏には参議院選挙も予定されている。こうした状況に対し、私たちの要求する戸別所得補償などの農政の転換、TPP参加問題の扱いなどを注視しながら、真に農業・農村を守る政策実現のため、全日農の推薦候補などの当選を勝ち取ることが重要である。

2.正念場のTPP参加阻止運動
 2010年10月、何の前触れもなく管直人前首相はTPP参加を言い出した。当初は、財界、大手マスコミ一体となったTPP参加大キャンペーンが繰り広げられた。そこでは、TPPに関する議論を農業問題のみに矮小化し、「弱体化した日本農業のせいで門戸を開放できない。日本を『鎖国状態』にしているのは農業のせいだ。国際競争の厳しい風に当て、過保護の農業を強化し、再生のチャンスにしよう」等々、実態からかけ離れた乱暴な主張がまかり通り、TPP反対運動は、農業・農民の圧倒的少数派とされ、囲い込まれようとした。
 しかし、その後、TPPに対する疑問や反対は各方面に急速に広まった。TPPは、衰退するアメリカが、台頭する中国封じ込めに日本を巻き込むものではないのか。アジアの一員として、TPP参加より、中国、東南アジア諸国との経済関係に重きを置き、ASEAN+3(日中韓)等での通商圏づくりがベターではないかなどの意見が出されてきた。
 TPPは一部の多国籍企業の凶暴な支配力を強化するだけで、国民経済の強化につながらないことは明らかである。また、世界に跋扈する多国籍企業(トヨタやモンサント等)の利害と国益は、グローバル化の世界では相反するものとなっており、TPPは国家間の利益ではなく、懐が潤うのは多国籍企業だけとなるのではないか。
 そして、TPPは「モノの貿易」だけでなく、医療、保険、労働など21分野に及ぶ。 また、悪名高いISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)がある。これは、「投資者が想定した利益を得られないのはその国の制度が悪い」という論理で、進出したアメリカ企業や投資家が日本政府や自治体を訴えることができるという条項である。さらに、仲裁裁判所の議長はアメリカの影響下にある世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター事務総長の任命であり、アメリカの投資家に有利で中立ではないと言われている。
 日本のTPP反対運動は、国際的な反グローバリゼーション運動と連帯し始めている。今年3月、激しい反対を押し切って批准された韓米FTAに苦しむ韓国の闘いと連帯し、ニュージーランドやアメリカの市民運動からは、隠されてきたTPPの暗部を知ることになった。国際的な集会も持たれ、反TPP運動は国内外を問わず大きく前進している。
 国の法律を上回るISD条項を含むTPPは、国家主権や食料安保に深く関わるものであり、国のかたち、国益、美しい山河までも変えさせられかねない協定である。
 この国が最優先すべきはTPPではない。東日本大震災、福島原発事故の復旧・復興を何を差し置いてもやらなければならない。しかし、この期に及んでも、TPP参加推進の財界や民主党政権は巻き返しを狙っている。TPP参加への布石は、外務省や経産省の官僚の手で秘かに打たれており、いつ浮上して、野田首相が参加表明をするか分からない。韓国の失敗は他山の石ではない。
 TPPは、20年前のガット・ウルグアイラウンドの関税化をはるかに上回る、壊滅的な影響を日本農業に与えるだけでなく、国民の安全や国民生活に格差を持ち込むことになるものだ。農業・食料を崩壊させる動きを、なんとしても阻止しなければならない。
 中央・地方を問わず、反TPP運動を展開しよう。

3.日本農業再生と震災・原発被害からの復旧・復興を一体として進めよう
 食料自給率や就農人口、農業所得、耕作地などいずれも減少が続く一方、離農、耕作放棄は増大し、農山漁村から活力が失われてきた。中山間地を中心に過疎や限界集落化が深刻化し、この国の自然、環境、地域(集落)は、さらなる荒廃に向かいつつある。
 「農業基本法」(61年制定)以来、日本農業は、米づくりを中心に「選択的拡大」を図り、農業の構造改革と機械化、農薬や化学肥料の多投化、大規模化等を追求し、効率と生産性向上を図る施策を取り続けてきた。中には施設栽培や規模拡大などによる農業経営の成功例もあるが、離農や地域格差、自然・環境の荒廃は止まらない。単作化、効率化一辺倒の施策を推し進めた結果である。
 規模拡大・効率一辺倒の農政に対峙してきた全日農は、「日本農業の土台は家族農業である」と訴えてきた。
 今、日本農業を支えてきた昭和一桁生まれの退場による農村崩壊を食い止めようと、各地で様々な努力がなされている。農業・農村の世代交代を乗り切るために、家族農業を中心にした再生の戦略・道筋を作らなければならない。
 そのためには地域農業の担い手を作ることが大切だ。家族農業をベースに、個人、集落営農、農業法人など、多様な担い手が地域の核として地域社会を支えることが求められる。世代交代で地域に新しい農業就業者を作り出す「人・農地プラン」(上図)の活用と、同制度のさらなる拡充を求めていく。
 農水省によれば、40歳未満の新規就農者1万3千人((2010年)のうち、定着するのは1万人程度である。これを毎年2万人の定着をめざして実施するのが「新規就農総合支援事業」である。このうち青年就農給付金は、研修期間の2年間と就農後は最長5年間、それぞれ年間150万円を支給するもので、対象者には今までにないかなり手厚い施策である。高齢化と担い手不足の深刻化が進み、「上から」の手だての必要に迫られた施策と言えよう。
 しかし、農業技術(百姓仕事)の伝承は、そんなに簡単なものかという疑問が残る。地域の特性を十分に習得し、代を重ねた経験の蓄積があっての総合科学・総合技術である。促成できるものではないだろう。地域に合った栽培方法をやりたいという就農希望者を、じっくりと地域で育てるための支援策にもつなげる必要がある。
 次年度の新規事業に「地域農業支援組織連携強化」が要求されている。新規就農者の定着増や育成にかかる予算の額も大切だが、農法や農家経営のあり方をどのようにサポートするのか、人材をどこに求めるのかといった支援体制はきわめて不十分である。多額な新規就農資金を必要とする施設栽培などは、経営リスクも考えなければならないだろう。

戸別所得補償のさらなる充実を
 戸別所得補償制度は、生産費や労働費のとり方等、不備な点の修正と同制度の充実強化を求めていく。さらに、畜産、果樹園芸等への拡大を求め、制度の法制化の実現をめざす。
 自民党農政時代への逆行を許さず、民主党農政の総括を行い、戸別所得補償制度等、2010年3月の「食料・農業・農村基本計画」の方向に沿って拡充すべきところを求めていく必要がある。
 しかし、管首相による「TPP参加表明」で急ぎ決定された「包括的経済連携に関する基本方針」(2010年11月9日閣議決定)を受けて作られた「食と農林漁業再生のための基本方針・行動計画」は、競争力強化の方針で貫かれている。政府は「TPPとは無関係」としているが、明らかにTPP体制下でのものであり、農業・農村が多様な担い手の共存共栄で成り立っているという、大切な基本的事実が全く顧みられていない。自民党農政時代の小農切り捨ての選別農政へ、軸足を戻させてはならない。

環境直接払い、中山間地等直接払い拡充
 私たちは戸別所得補償制度の法制化、現行8割の家族労働費の全額算入、地域性を尊重した制度などの充実を求める。
 農地法改正により農地の利用権が株式会社等にも拡大された。地域社会との齟齬が懸念されるが、全日農は農業・農村が果たす多面的機能の維持、永続のために、EUや韓国等で実施されている環境直接払いとして、10a当たり2万円を要求する。併せて里地・里山を含む中山間地等直接支払い制度(現行10a当たり2万円)の早急な拡充を求めていく。

大震災と放射能汚染
 私たちは昨年の大会で、大震災による復旧・復興を全国共通の課題として取り組むことを確認した。しかし、震災・津波で奪われた農業・漁業を中心とした東北の産業は、いまだ復旧への道半ばである。特に、生産・生活環境を破壊した福島原発事故は、野田総理が行った収束宣言を尻目に、解決の入り口にも至っていない。
 放射能汚染は史上最悪の環境破壊である。生命と放射能は絶対に共存できない。地震列島の日本は脱原発しかなく、これは国民大多数の切実な叫びだ。
 福島原発事故を経験した今、地域で自前の電力を作り出す時代が来た。今年7月から実施された再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度によって、地域で共同して、農民自身が発電事業者になることが可能になったのだ。
 ドイツやデンマークの農民は自然エネルギー発電事業を農業以外の大きな副収入源とし、さらに新たな雇用さえ生み出して地域を活性化している。
 周囲を見渡してみよう。農村は自然エネルギーの宝庫だ。自然エネルギー発電事業の勉強会や研修を通して、ドイツやデンマークの農民に続こう。

4.全日農の再生をめざそう
 全日農は、その前身から、戦前の天皇制権力の弾圧下で封建的な地主と激しく闘い、戦後は農地改革の中心的役割を果たして、日本農業の骨格を作ってきた先駆的な農民組合である。また、米価闘争や出稼ぎ者運動、農産物自由化反対運動、高圧線下補償運動等々、戦後社会の民主主義陣営で名誉ある一角を担ってきた。そして、全国各地で幾多の運動家、各界の議会議員を輩出してきた。
 しかし、労働運動や政党の再編、全日農の活動家の高齢化、引退等々により、かつての力量を失っている。日本農業に新しい方向が必要な今こそ、組織の実態を直視し、その立て直しを共同の課題とする時だ。
 全日農が掲げてきた政策が、農民の実際に寄り添っているか、運動の後継者つくりに本気で取り組んだか、今後どこに組織再生の力を注ぐべきか、組織方針の総点検を行う。
 さらに、消費者運動や、他産業団体との地域での共闘、国際的な農民運動との連帯など、山積する課題に対し、組織・財政問題検討委員会を作り、具体的な検討を行っていく。

二、課題別の問題点と取り組み
 取り組むべき課題や問題点、具体的な取組みを、6つの柱に分けて提起する。

1.大震災・放射能汚染からの復興・再生への運動
★農漁民の要求を中心に、地域及び農林漁業の復旧・復興を図る。
★地域の主体性を尊重した「ふるさとの再生」と、「未来へつなげる営農と生活の再生」を柱に地域の復興を行う。
★徹底した放射能除染、検査体制の確立、汚染物の保管場所の確保。生産物と生活の補償、さらに長期にわたる復興への取組み支援。万全の補償を行う法制度を確立する。

具体的な取組み
?政府・自治体に対し、農業・農村の現場に立った具体的な対策の要求活動を行う。
?放射能被害(風評被害を含む)に対する迅速な補償を求める運動を支援する。
?田畑や畜舎など、放射能汚染地域の実態調査を行う。
?被災者へ支援米を送る運動を継続する。

2.直接所得補償、農畜産物価格政策を確立する運動
★米作の再生産を可能とする不足払い制度による価格補償の実現を図る。戸別所得補償制度の充実と法制化に向け、全日農の要求を反映させる。
★水田利活用自給力向上事業を充実させる。飼料米、飼料稲、加工米、バイオエネルギー作物、麦、大豆、飼料作物等、農家が安定した水田利用を可能とする対策を確立する。
★畑作物の戸別所得補償制度については、生産力の確保とともに、再生産の維持が可能な所得補償制度を確立する。
★畜産・酪農対策では、牛肉・豚肉・鶏肉等の安定供給が可能な価格対策を求め、生乳やプール乳価の生産費を踏まえた不足払い制度や、直接所得補償制度の導入を求める。
 また、地域での耕畜連携の推進、及び家族農業の確保、有機農業や日本型畜産の推進などを図る。

具体的な取組み
?民主党や社民党など各政党に対し、現場の意見反映をはかる協議の場の設置を求める。 また、各分野での農業政策について研究会を設置する。
?国会での法案審議、予算策定、政治・経済・農業情勢に応じ、政府及び団体への取り組みを強める。
?各自治体への政策要求の取り組みを行い、理解と実現について協力を要請するとともに、自治体独自の農業対策等の取り組みを求める。
?さまざまな人たちとの意見交換や学習交流活動の強化、公開シンポジウムなど、地域の動きに繋がる運動を組織する。

3.自給率の向上と農山村の多面的機能の保全などに対する運動
★自給率向上や耕作放棄地対策としても、飼料米、飼料稲は優れた作物である。さらに、デントコーンや飼料作物などの水田での自給飼料増産対策が重要である。耕種と畜産が連携して、飼料作物の水田利用と、畜産堆肥の水田や畑への還元などが重要な課題になっている。
★米粉麺や米粉パンなどを普及し、日本の風土・文化に根ざした作物を栽培した食料自給率の向上を図ることも大切な課題である。
★農業の多面的機能を維持・保全するため、全ての農地を対象とした農地・水環境保全対策の直接支払いを実現する。当面、水田については10?当り2万円の直接支払いを要求する。さらに、有機農業などの環境保全型農業への加算措置、日本型畜産としての里山・水田放牧などへの支援も重要である。
★小規模農家・兼業農家を含む家族農業の多様性を尊重し、地域から農と食を立て直す取り組みを進める。
 中山間地直接支払いは、現行の水準に加算方式を確立し、恒久的な制度が必要である。
★木材価格の低迷により、間伐や手入れがされない森林が多くなっている。里山も含めて、農山村の再生や国土・環境保全のために重要な林業・木材産業の活性化によって、雇用も含めた地域再生を図ることが重要になっている。
★果樹農業も、輸入産物の増加などから生産の減少が続いている。果樹農業に対する所得補償制度も含めた生産安定対策を求めるとともに、消費者との提携が課題になっている。
★生産性や効率化だけを求める農業ではなく、地域の風土とくらしに根ざした農業生産、家畜や土壌に負荷をかけない農畜産業を進め、化石燃料・化成肥料の大量消費から、有機農業やエコ・環境保全型農業への転換が求められている。
★農業生産資材、基盤整備、機械導入への補助対策など、生産費低下のための政策を確立する。また、地方自治体が地域農業施策を確立する上で自由に使える交付金制度をつくる。

具体的な取組み
?畜産の振興と合わせた地域営農システムの確立をめざす。
 そのため、現場生産者や畜産農家、行政など関係組織のネットワーク化を進めていく。
?有機農業に取り組んでいるグループなどとの交流を強化し、シンポジウムや学習交流を進める。
?自治体の農業振興施策の確立を求める。また、地域の様々な団体と連携しての地域営農などを進めていく。

4.農業・農村、生産の担い手対策と6次産業化に対する運動
★地域農業を守るには、集落営農や営農法人、認定農業者、その他の農業従事者をしっかりと位置づけ、持続可能な政策支援と担い手の育成対策の強化が必要である。
★耕作放棄地の解消や水田有効活用を進める上で、専業農家とあわせ、兼業・小規模農家を含めた地域営農を補完する広域的集落農業生産を拡大する。また、総合コントラクター、若手援農隊など、各分野での担い手対策を確立する。
★資本や商社による国内での生産体制、製造・加工・販売の統合、さらに農地法の改定により、企業の農業参入の動きが強まることが予想される。食料や土地が資本に支配されかねず、対策が必要である。
★農協は経営主義の徹底や広域化が進み、地域農業の再生や、農家組合員の営農と生活を守る機能を十分に果たし切れない部分が指摘されている。
★政府が進めている6次産業化は、農民の直接的な所得の増大につながることから、しっかりした具体的な施策が大切である。
 また、産業化政策主導で自治体が軽視されることのないような対策が求められている。
★原発に代わるエネルギー資源として、風力、太陽光、小水力(左図参照)、バイオマス、地熱などが注目されている。
 農山村は自然エネルギー資源の宝庫である。再生可能エネルギー法による電力買い取りシステムを活用し、農民・地域が主体となった自然エネルギー生産体制を確立しよう。そのため、農家を主体とした住民による地元資本づくりが可能な法制度が必要になっている。また、電力の発送電部門の切り離し、9電力による地域独占体制の見直しなどが必要である。

具体的な取組み
?地域の先進事例を取り入れながら、水田を守る体制を確立する。生産管理体制として、集落営農を含んだ担い手づくりを目指す。
?高齢化で限界集落や耕作放棄地化が進む懸念が大きい。農協・行政への働きかけと、直接的な地域での応援部隊を組織化し、担い手育成等にも取り組む。
?現場の意見を踏まえ、具体的な支援対策を国、地方自他体へ要求する。
 また、農業大学や研修教育機関の充実など新規就農条件整備の実現に取り組む。
?農協の民主化の取り組みを強化するとともに、農民の組合という本来の機能を取り戻させ、地域農業を支援する体制を強化するよう求めていく。
?農民、地域住民主体の6次産業化を進められるよう、法制度の改善を求めていく。
?農漁林民、住民が主体になって、地域において再生可能エネルギー法を活用したエネルギー生産を拡大する。そのための法制度を求めていく。

5.貿易自由化の問題、食の安全・安定、消費者等との連携の運動
★世界貿易機関(WTO)交渉は進展せず、WTO体制は大きく揺らいでいる。民主党政権はTPP交渉への参加に前のめりであり、さらに、豪州などとの二国間自由貿易協定(FTA)の拡大戦略を打ち出している。
★TPPは日本の農畜産業に壊滅的な打撃を与えるだけでなく、食の安全、地域経済、医療など、広範囲にわたって大きく影響を及ぼすものであり、TPP参加に断固反対する。
★人口増加や途上国の経済発展を考えれば、世界的な食料の逼迫は明白である。水田農業を通じ、アジアの農民と連帯してたたかう。
 また、東アジアでの食料安全保障のための共同備蓄構想も重要課題である。
★農業の持つ多面的機能、地域での循環型経済の大切さ、持続可能な農業など、国民全体の理解と協力が得られる運動や体制を確立するための取り組み強化が大切である。
★牛海綿状脳症(BSE)に伴う輸入制限が、アメリカの思惑通りに緩和されようとしている。放射線照射食品や遺伝子組み換え作物も、安全性の問題とともに輸入の拡大にも結びつくものであり、消費者とともに反対していく必要がある。

具体的な取組み
?TPPやFTA交渉に対して、様々な団体と連携・共闘して、反対運動を進める。地域においても、消費者や農業団体との連携を図りながら、自由化反対の取り組みを強める。
?アジアなど関係国の農民らと連携し、自由化やグローバリゼーションのもたらす問題点を社会に明らかにしていく。
?生協や消費者団体との連携を強化し、意見交換、シンポジウムなどを開催する。また、学校給食などを通じた食育の推進を自治体などに求めていく。
?有機農業や地産地消運動で、環境保護や農産物価格に対する理解を深める。行政に対して、直売所活動への支援や、都市と農村の交流活動の強化を働きかける。
?都市住民や子どもたちの農林業の体験、農家等への民泊の取り組みをさらに拡げるための支援措置を求める。

6.線下補償、税金、負債対策、平和課題などの運動
具体的な取組み
?高圧線下補償闘争は年次払い、被害補償が基本である。これを強化するため、全国的な情報交流を密にし、取り組みを広げる。
 また、発送電分離、電力会社の地域独占の見直しなどの動きを注視しつつ、全日農の従来の方針を堅持していく。
?申告闘争など、税金に対する各地の取り組みを広げる。消費税の増税は極めて問題が多い。食料品の非課税などとあわせ、税制の公平性を求めていく。また、放射能被害の補償に対する税制の配慮を求める。
 農家の農業経営に対する助成金・補助金については、「一時所得」の適用を求める。
?都市農業の相続税見直しに反対し、都市農業の積極的な振興を図る。農業者の育成や集落営農など、生産法人育成の上でも、税制面での対策を求める。
?土地改良区賦課金、負債対策など、各課題についての取組みも強める。農業負債への減免措置、制度資金の無利子化など、農業を育成する上での政策的支援を求める。
?世界の食料危機を解消し、農産物の自給は平和を守るとの立場から、途上国、最貧国と連携し、世界の多様な農業の共存をはかる取組みを進める。
?予想される衆議院の解散・総選挙や、来年夏の参議院選挙をはじめとする各種選挙においては、戸別所得補償等の農業政策の充実やTPP参加阻止など、真に農業・農村を守る政策の実現に向け、全日農の推薦候補を中心に選挙闘争を進める。

三、全日農の組織・財政の確立に向けて
農業をめぐる情勢がかつてなく厳しく、また、政策の転換が求められている今日、全日農の役割は大であり出番である。今こそ、蓄えた経験を生かし、組織と運動の拡大を勝ち取る必要がある。しかし、現状においては、全国組織として脆弱な機能しか持ち得ていない。こうした現実を見据えて、今後の全日農の組織・運動の方向性を明確にしていく必要がある。

1.組織の確立・拡大の取り組み
?府県連合会の組織を確立するため、農民以外にも消費者・労働者などに間口を広げた組織として、さらなる拡大を図っていく。
?府県連合会に限らず、地域単位や農業生産体制、有機農業生産者など、多様な業態別・課題別の組織、グループなどに対して、全日農への加盟を進める。
?未組織県や組織再建県については、重点的に組織対策を進める。
?ネットワーク会員を拡大していく。
?個人及び消費者団体の賛助会員制や、農業団体の賛助会員についても強化する。
?農民新聞やホームページを充実していく。
?執行部および事務局体制を強化する。運動への責任体制を確立し、政策立案体制、他団体との連携強化と情報提供、相談機能、会員等の組織化に向けて体制強化に取り組む。
?他の農民組織、消費者団体、労働組合などとの共闘・提携をさらに強めるとともに、ネットワークの拡大につなげていく。

2.財政対策の取り組み
?府県連合会の財政確立とともに、負担金の確実な納入を進める。
?財政のあり方について検討するため、組織・財政検討委員会を作り、検討する。
?各種団体の賛助金などを確立する。
?国会議員団を拡大する。各府県連で複数の国会議員団所属議員を作ることを目標とする。
?農民新聞の購読者数を拡大する。
?活動および財政に資するリーフレットなどを作成する。

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