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農林水産省への要請書 (2017年1月26日)

活動報告

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2017年01月26日

 農林水産大臣
    山本 有二 様

全日本農民組合連合会
                            会 長  斎藤 孝一

                                                        
要 請 書

 
 世界の食料情勢や人口増加問題を考える時、日本はどういう食料・農業・農村政策ととるべきか。今や、その地球規模的かつ歴史的な役割が問われている局面にあります。日本には、伝統的な農法や技術、農村政策や農協の存在など、多くの価値あるものがあります。
 狭い国土で、国民の食料を賄い、環境含め国土保全に大きく貢献してきた日本の農業、そして地域の営農と生活、暮しを担ってきた農村社会の伝統や仕組み、農協等の組織は決して否定すべきものではありません。新自由主義や多国籍企業による格差拡大や貧困の拡大といった今日の状況の中で、国際的にも「国際協同組合年」が設定されたり、家族農業や協同組合の存在が重要視され、かつ共同や相互扶助の社会が尊重される傾向が強まっています。
 しかし、国内的には、むしろ世界の動きに逆行していると言わざるを得ない状況にあり、ますます農業者は離農を迫られ、農村等の地域経済、地域社会は疲弊と崩壊の危機に瀕していると言わざるをえません。
 ついては、真に農業者や農村地域社会を守る立場に立った農業・農村政策の確立を求め、下記のとおり要請します。
 
基本政策について
 
1 国際情勢に対応する農業政策について
(1) 自国の食料は自国で生産することを基本とした国内農業・食料政策や、国際的な協力連携のための農業政策を強化されたい。農畜産物の輸出一辺倒ではなく、日本農業・農村の中で蓄積された技術・手法・政策等での国際貢献を前提に世界的な食料問題の解決に貢献すること。
(2) 国内的には国民への安定的な食糧供給を保証し、国土の保全につながる生産・定住政策等の農業・農村対策を強化すること。とりわけ、狭い国土の中で、持続してきた生産や農村社会の在り方を尊重し、次世代へつなげるとともに、中山間地域対策や農業協同組合の組織と事業などを世界的なモデルとして確立し、世界の食料増産や地域社会の安定に向け貢献すること。
 
2 TPP協定及び各種の自由貿易・経済連携協定について
(1) 国会で強行採決・批准されたTPP協定は、現場の農業者にとっては、大きな不安を与えるものであり、国策への不信感が渦巻いている。TPPの発効を前提にせず、協定の内容を精査し、明らかにすること。
  また、今後のFTAやEPAなど各レベルでの協定交渉は、国内の農業・農村社会へ与える影響が甚大であることから、徹底した国民への情報公開、農業者・農業等への対策含めた合意形成などを前提として進めること。国会決議に違反する場合は速やかに撤退すること。
(2) SBSについては、麦、米を含め、これまでの制度運営の経過、特に現状の米の取引状況について明らかにすること。
 
3 食料・農業・農村政策の再構築について
(1) 構造改革という名の下で、これまで地域農業・農村を担ってきた多様な農業が排除され、農村の社会経済構造すら崩壊しかねない懸念がある。そのため、地方自治と地域経済・地域農業、農業・農村社会を支えてきた農業者を守り育てる政策を強化されたい。企業等を重視した生産性向上施策や種子種苗法の改正は、農業者の利益を考え慎重を期すること。
(2) 所得補償制度の確立・生産費等の軽減対策を前提に、農畜産業における主要分野での経営所得安定対策を確立されたい。農村政策については、農業・農村の担い手の育成確保と循環型の社会や環境保全の重視など、農業の準公共的機能を踏まえた政策を強化されたい。経営所得安定対策として取り組まれている農業資材の値下げのほかに、メーカーの農業機械や飼料価格等にメスを入れるとともに、資材の価格変動を生産費に織り込み、その変動によって農家の所得に多大な影響を生じない施策を強化すること。
 
具体的な政策要求について
 
1 水田・米政策について
(1)米の経営所得安定対策を強化すること。過去、現行のナラシ対策実施時に米価下落の進展により、戸別所得補償制度、経営所得安定制度へ制度が改善された経過がある。所得経営安定のため、生産費を基準とした所得補償制度を再度確立すること。収入保険制度の検討にあたっても、対象を限定することなく、また生産費を基準とした制度としての設計を基本とすること。
(2)水田の利活用対策については、米以外の穀物、果樹、野菜、畜産のための自給飼料など、主要な作物の作付面積を設定し、利用を安定的に確保・維持するための総合的な農畜産物の価格政策・担い手の所得政策、さらに生産支援対策を講ずること。
(3)2018年から実施するとしているコメの生産調整への国の関与の廃止については、国の責任において生産調整を実施し、国民の食料政策を確立すること。
 
2 農村地域政策について
(1) 農村地域のあらゆる資源と力の結集が必要であり、集落営農等地域の従来の資源、人材の活用と育成、農協等の協同組合組織の積極的な活用、生産・消費両者の連携組織など、多様な担い手の確保と育成を図ること。
(2) 資金の活用や人材の活用のための農村支援システムを検討すること。また、農協等への規制を緩和し、農協・農業者の資金、農村の資金が地域のために活用できるよう他部門運用比率等の規制を撤廃すること。
(3) 若者を含めた定住を促進するため、水田のみならず里山を含めた直接支払制度を強化すること。とくに、山間部は水田が少なく狭隘な地域が多く、交付金も少ないことから、耕作放棄地解消と営農継続のためにも、水利確保・保全、鳥獣害対策などの里山保全管理強化のための支払い制度を設けること。
(4) 農業生産法人の機能に、農地管理、里山管理等、農用地の管理法人的な機能を付与し、農業従事者のみならず、消費者・地域住民・学童などの農的生活の体験、食農教育など、国民的な活動を活発にするための支援策を講ずること。
(5) 農村での再生エネルギーによる地域経済の活性化と雇用等の安定を図るための政策を強化すること。企業による大規模発電等ではなく、第1次産業従事者によるバイオマス等のエネルギーの生産と活用を促進させ、雇用と所得の安定を図ること。
 
3 酪農・畜産政策について
(1)経営安定対策としての価格・所得政策を確立すること
●都府県の生乳生産者対策については、酪農家の減少に歯止めがかからないことから、生乳もしくはプ―ル乳価の生産費を踏まえた、不足払制度や戸別所得補償制度を導入し、酪農経営安定のための抜本的な対策を確立すること。  
乳価は、飲用乳、加工原料乳の二本立とし、都府県と北海道の地域別生産費との差額を不足払いする制度を基本とすること。
●配合飼料価格安定対策について、現行の激変緩和対策ではなく、高値固定化の場合の補填および将来の負担となる借入金の返済財源の国庫負担化など、配合飼料価格安定対策の抜本的な見直を行うこと。
●肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン事業)について、労働費等の算定の改善、物財費の10割補填、最低限労働費の8割を補償する方式へ改善を図ること。また掛金負担を含めて、農家へは実質9割補填となる制度設計とすること。
●飼料負担増などのコスト増を踏まえ、肉用子牛の経営安定のため、肉用子牛生産者補給金の保証基準単価を引き上げること。また、乳オスのヌレ子については、副産物による酪農経営安定を図る観点から、最低保証基準価格を設けること。
●指定生乳生産者団体制度を堅持すること。
(2)自給飼料増産対策については、水田での飼料稲・飼料米のほか飼料用トウモロコシの増産強化対策、里山・水田での放牧の取り組み、水田・樹園地・里山等の飼料生産基盤への転換促進、農地中間管理機構よる集積事業との組み合わせによる利用促進対策など、総合的な取組みを強化すること。特に、飼料稲・飼料米の交付金は現行水準を継続するとともに、飼料用トウモロコシやその他の飼料作物の栽培などへの交付金単価を上げ、取り組みを促進すること。
(3)鳥獣害対策や条件不利地域対策としての中山間地域直接支払の上乗せ助成措置を講ずること。その際は、放牧面積、自給飼料作付面積、和牛・乳牛の頭数を対象とすること。
(4)資源循環および再生エネルギー利用の促進など、環境にやさしい畜産業の推進のための対策を講じること。
(5)就農・就労支援対策の一環として、酪農畜産ヘルパー制度の拡充、生産法人での研修制度、コントラクター、TMR作業従事者の育成支援制度など、若者確保の支援を充実すること。

      以  上

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